陰干しの仕方について

着物の保管の仕方はどうすればいいのか?

着物を長持ちさせるために一番大切なことは「保管の仕方」です。

この保管の仕方の良し悪しで、着物は長持ちすることもあれば再起不能の手遅れ状態になります。

ここでは正しい着物の保管の仕方について解説します。

着物の絹が最も嫌うものとは何か?

着物(絹生地)の大敵はズバリ!湿気です。

この対策をしておくだけで雲泥の差があります。

カビによる影響

湿気があると着物にカビが生えてしまいます。

発生したばかりのカビだけならまだ丸洗いや洗い張りすればなんとかなりますが、そのカビによって着物の生地が変色してしまいます。

よく着物の白い裏地である胴裏が斑点状あるいはまだらに黄変・黄褐色に変色してしまうアレです。

胴裏であれば、洗い張りして新しい胴裏に仕立て替えれば良いですが、新しい胴裏生地代と洗い張り・仕立て代がかかり、工賃の金額が高くなってしまいます。

着物の表生地のカビが変色した場合

着物の表生地も同じように黄変あるいは黄褐色に変色してしまうと大変です。

着物の地色が抜けるほどまでしみ抜きして色掛けをして元の生地の地色に近づけるという対処になりますが、これもさらに技術と手間・時間が大変かかるため、シミの数や範囲によってはかなりの高額の工賃になります。

そして黄変・黄褐色に変色しているシミは年月が経つと生地自体が傷んで弱っているため、しみ抜きをすると破れてしまう恐れがある場合は手が付けられないということにもなります。

これは食べこぼし等のシミが年月が経って黄変・黄褐色に変色しているのも同じリスクが伴いますのでご注意ください。

着物にカビが生えないようにするには?

年に1~2回の陰干しはもちろんですが、保管されているスペースにシリカゲルの着物用防湿剤を置いておくだけでもかなりの効果があります。

ただし、湿気を水に変えてしまう商品がありますが、何かのはずみでひっくり返してしまうと大変ですのであまりオススメはできません。

桐のタンスや桐盆は湿気防止効果があるのか?

「桐のタンスが良い」と言われるのは、いろんな利点はありますが最大の要因は「中に湿気を通しにくい」ということ。

つまり、カビの防止や防虫効果が高いということです。

タンスを置くスペースがないという場合には、総桐の衣装箱や桐盆などでもいいですね。

着物の保管時の注意点

実は桐のタンスや桐盆に入れているからといって安心しきってはいけません。

桐タンスに収納していたのにカビが生えて変色した着物も実際にあります。

やはり定期的な陰干し(虫干し)をしておくに越したことはありませんね。

陰干しはいつすれば良いのか?

着物(絹)は風による新しい空気と乾燥を喜びます。

1年間を通して、陰干しをしてほしい時期は2回あります。

1回は梅雨明け後のカラッとした天気の時に室内で干す。

2回目は2月くらいのやはりカラッとした天気の時です。

1回で済ませたい場合は梅雨明け後のカラッとした天気の時は必ずやっておいてほしいですね。

窓を開けて風を通し、直射日光の当たらない部屋で衣紋掛けかハンガーに着物を吊るして風に当てるようにして干します。

帯などを干すスペースがなければ、イスの背もたれに掛けてもいいです。

その際の注意点として、室内とは言え決して太陽の日差しが着物に直接当たらないこと。

できれば蛍光灯などの電気も消しておくことです。

干す時間帯としては朝干して15時頃取り込むという一般の洗濯物と同じくらいの時間帯で大丈夫です

着物をビニール袋に保管してはダメ!

もし、着物をビニール袋に保管している場合はすぐにやめた方がいいでしょう。

着物はたとう紙に入れて保管すること

「たとう紙」(あるいは文庫紙とも言う)は着物をたたんで入れる着物専用の長方形の和紙の包装紙。白やベージュ色が主流)に入れて保管するのが適切ですが、もしビニール袋に入っていたら、必ずそのビニール袋から出して「たとう紙」に保管しましょう。

ビニール袋は通気性が悪いため、カビや縮みの原因となります。

ビニールだけでなく輪ゴムも着物には悪影響がある

収納場所に輪ゴムなどのゴム製品があると、そのゴムの硫黄成分に反応して刺繍や金箔などの加工成分が化学反応を起こして黒く変色したりします。

ゴム製品は絶対に近くに置かないようにしてください。

例えば、帯締めを束ねて輪ゴムで留めたものを着物と同じスペースに仕舞っていると、着物の柄の金加工が変色したりします。

輪ゴム自体が解けて着物等に付着すると、それ自体シミになってしまいますので、しみ抜きをしなくてはならなくなります。

着物及び着物の備品関係には輪ゴム等は一切使用しない・近くに置かないようにしましょう。

「着物の保管の仕方はどうすればいいのか?」のまとめ

・着物(絹生地)の大敵は湿気

・カビで着物が変色するとしみ抜きが大変になり、手遅れになる場合もある

・カビの防止には陰干しが有効

・保管はシリカゲルや桐タンス、桐盆に保管するのが理想的

・着物をビニール袋に保管してはいけない

・輪ゴムなどのゴム製品は着物の保管時に使用しない

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